トイストーリー4を昨日(2019年8月12日)見てきました。
シンプルに名作でした。
個人的に名作というのは、鑑賞後の感想に3種類あると思っています。
①よかったけど理解できない
②いい理由が大量に思い浮かぶ
③シンプルによかったと強く思う
例えば「①よかったけど理解できない」は宮崎駿監督、新海誠監督など
最初の①がジブリの宮崎駿監督に多いと思います。それは描くテーマが壮大ということと、宮崎駿監督が細かい設定を作り込まないでそれらしく描くのもうまい監督だからという要因があると思います。感覚派なのでしょう。
「もののけ姫」「「千と千尋の神隠し」」なんて歴史的大ヒットで、日本人全員が見たことあると思いますが、どんな映画なのか、好きな理由は何か、好きじゃない理由は何かを明確に話せる人なんてほとんどいないと思います。
それでいうと「君の名は。」の新海誠監督もこういう作品の作り手だと思います。賛否が生まれやすいのも、描くところと描かないところがはっきりしているからでしょう。「天気の子」は過去記事にも書きましたがおすすめできません。
「新海誠監督「天気の子」は、あれでいいのかもしれない。企業スポンサー映画としての「天気の子」」
(ここまで書いておいてですが、どちらかというと新海誠監督は②で、本記事には出ませんが細田守監督が①かもしれません)
高畑勲監督、庵野秀明監督は「②いい理由が大量に思い浮かぶ」だと思う
一方で、ジブリのもう一人の監督(すでになくなってしまいましたが)の高畑勲監督の作品、例えば「火垂るの墓」「平成狸合戦ぽんぽこ」「おもひでぽろぽろ」は、あまり議論が生まれない名作のような気がします。はっきりとここがいい、ここが共感しなかった、と言えるような、物語の余白がないのだと思います。論理的に作っているのでしょうか。
エヴァンゲリオンやシン・ゴジラの監督である庵野秀明監督も、論理的に作っているような気がします。あるいは社会的なテーマを直接的に描こうとしていないというような。
正直深い知識はなく、作品を見た印象を直感的に書いているだけなので、批判があればぜひTwitterなどに送ってください。賛否があれば、否の方を知りたい派なので喜びます。
ディズニーに多いのが「③シンプルによかったと強く思う」
そして最後が③です。
これはいいのか悪いのか、ハリウッド映画やディズニー映画を見ているとよく感じるものです。
とにかくよかったとか親子愛、友情がよかったとか、シンプルに私たちの価値観に馴染む「いいもの」を表現している映画です。
ただし、これはチープにもなりがちで、長く愛される作品を作ろうと思った時のリスクにもなると考えています。
というのも、映画というものの良し悪しを測るのは「物語の魅力」「演出の魅力」「脚本の魅力」「表現の魅力」「興行収入の量」というような様々な指標がありますが、誰もが感動する作品をつくろうと思うと、物語や演出、表現というものは形骸的でいわゆる紋切り型の作風になってしまうのもしばし起こります。
うーんこういう話見たことあるなあ、、あ! あれだ! という感覚。ハリウッドには多いですよね。それを予算の大きさや演出の派手さでカバーしているのがマーベルだと思うのですが笑 とはいえ、一度見たときには興奮しますし、感動もします。しかし、その作品を二回見ようとは思えない人も多いのではないでしょうか。
だからこそ、二回見ても魅力的に感じる、子供にも見せたくなるような作品を作ることが映画としての最大の魅力だと個人的には思うのですが、その魅力を「トイストーリー4」は実現していると思うのです。(前置きが長くなりました)
ピクサー創業時の物語にして進化を続ける名作
実は、私はトイストーリーには強い思い入れがあります。
というのも20代の若者、男である私は幼少の記憶として一番好きな作品がトイストーリー。ウッディとバズを知ったのは小学生以前だったと思います。
3も映画館で見ましたし、そりゃあ感動しました。今作も映画館で見ないわけにはいかなかったのです…が、実は心の中で少し不安な部分もありました。
最近ディズニー続編作りすぎじゃない? 続編出せば興行取れると思ってるんじゃないの?
大人になって、少しひねた部分が出たのだと思います。純粋な気持ちではなく、ビジネス的な視点で思い出の映画を否定しようとしていたのですが、食わず嫌いは一生の恥。意を決して見ることにしました。
結果、涙腺崩壊。一人で鑑賞したのに笑いの嵐、涙。
周りのお客さんも大人が多かったのですが、映画館に染み渡る一体感。和やかなムードと、シリアスなシーンの緊張感、悲しいシーンの寂しさを共有できていると感じるほど。終わりにはつい拍手してしまいそうな雰囲気が出ていました。(隣の方は拍手していました)
完全に想像を超えていました。思い返してみるとシンプルなストーリーなんですが、展開、表現は新しいところに挑戦をしている。しかし原点は忘れない。
ピクサーの創業者の著書を読んだことがありますが、実はトイストーリーが創業時の一番最初の作品だそうです。
その作品には、少年時代の思い出はもちろん、自身の夢、希望を盛り込んだ上で、ディズニーでは定石とも言える「ミュージカルの要素」を省くという意志を徹底していたそうです。
(創業者エド・キャットムルの著作)
この作品は思い入れが強いということもあるのか、本当に多様な挑戦がありました。私は前作までも全て見ていますが、それでも新鮮な驚きを与えてくれる。そして、人生において大切なものはなにか。考えさせられる作品だったと思います。
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よい意味で「③シンプルによいと強く思う」だったトイストーリー4。
見ようか迷っている人はぜひ、劇場に足を運んでください。期待は必ず超えてくれると思います。
前作を見ていない人はこちらもどうぞ。
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