新海誠監督の最新作「天気の子」を見た感想・ネタバレあり・批判ありレビュー

映画

結論から言おう。くそ映画だと。二千円払うんじゃなくて、もらう作品だよこれは。

評価は5段階でいうと個人的には2。もちろん評論家ではないので「好み」のレベルで2。好きな人はもっと高いかもしれないし、10代で物語をそれほど消費したことがない人の評価は高くなると思う。

完全にネタバレあり。どうしてもネタバレなしで見たいという方はスルーしていただこう。ただ、個人的にはこの週末を無駄にしたくないという方は、この評価を読んでもらいたい。(今日は2019年8月11日(土)で日月が休み)

まずは完結なあらすじを。

新海誠最新作「天気の子」のあらすじ

舞台は雨が振り続ける東京。

主人公は家出少年の帆高くん。

このボーイがミーツする少女が自称18歳の陽菜ちゃん。

東京に憧れを抱いて上京をした帆高は宿も仕事もなく彷徨うところを陽菜ちゃんに救われ、ひょんなことから二人の関係は近くなっていく。

東京に憧れを抱いた少年は、陽菜ちゃんが持つ不思議な力によって、不思議な運命に巻き込まれていく。

というような物語。ん? 普通のボーイミーツガール? 雨? 不思議な運命? と思うかもしれないが、この印象は見終わっても決してぬぐいきれないので安心してほしい。

まあ、これは見たことがある人がメインのレビューでもあるのであらすじはこれくらいにして、特徴・感想を紹介しよう。

1.宣伝が鬱陶しい

まずこれは世界が感じているであろうことだが、宣伝が鬱陶しい。

テレビをつければ天気の子。映画館に行けば天気の子。それ自体は構わない。悪いことでもないと思うし、興行がよくなければ作家は次の作品をつくることはできない。必要なことだ。

が、しかし、商品とのタイアップ広告が多すぎやしませんか?

カップヌードルのCMとかさ。もはや作品侵してるじゃん! いいの? と思った人も多いと思います。(思ってない?)

前評判は知らないけど、正直鬱陶しくて見ないどこうかなと思いました。広告接触の不快指数を超えてるんだと思うけど、詳しくは知らないから専門家に解説してほしい。

2.演出や表現が「君の名は。」と同じ、あるいは類似したものが多い

これも全員が思っていると思う。

これが「天気の子」。

これが「君の名は。」。

あーまあね、キャラデザもタッチも同じだけど別作品だよね、、とは思えない! 同じ同じ笑

監督が新海誠なだけではなく、プロデューサーは川村元気だし、楽曲提供はRADWINPS。「君の名は。」は僕は好きだったけど、売れたから同じのつくればいいと思ってるの? 川村元気さんは客をバカにしてるのかね? 新海誠さんもそうなんですかね?

ちなみに劇中に「君の名は。」の立花瀧くん、宮水三葉さんが出てきていたが、そのためにキャラデザを変えなかったのかな? 悪いことではないと思うけど…。

3.説明が長い

この映画、とにかく表現が少なく説明が長い。

物語の本筋は面白い気がするし、表現・演出もいい気がするんだけど、余計な説明とか演出も多いからキャラに共感できない。

エッセンスが多すぎるというか…後述する映画内広告(CINEMA ADsと名付けよう)が多すぎるのも作品が陳腐化した要因だと思う。

4.映画内の広告(CINEMA ADs)が鬱陶しい

物語として見せる本筋は面白い気がするんだけど、大きなスポンサーが7社もいる。

・サントリー食品インターナショナル株式会社
・株式会社増進会ホールディングス(Z会/栄光ゼミナール)
・ソフトバンク株式会社
・ディップ株式会社(バイトル)
・日清食品株式会社
・ミサワホーム株式会社
・株式会社ロッテ

スポンサーつきすぎ笑 通りで宣伝が鬱陶しいわけだよ。

至るところに実名のサービス、製品が出てくる。始まるとすぐにヤフー知恵袋(ソフトバンク)、進むとすぐにプレモル(サントリー)、のちチキンラーメンカップヌードルのくそ宣伝(日清)、終盤のバイトル(ディップ)、他にも聖地を作るための池袋南口公園の紹介や天空公園の紹介などなど、実名サービス・エッセンスが盛りだくさんで作品に集中できない。

エッセンスというのはほんの一部に入れるからいいのであって、エッセンスで成立しているこの作品はもはや映画ではなくPVだと思う。

最後には「天気の子by 日清」って出ないのが不思議だったくらい。

新海誠さんはたしか企業の宣伝アニメとかも手がけているし、2時間かけて盛大な企業PVを作ってみたかったのかもしれませんね。

15分は耐えられる名作PV「天気の子by日清」が爆誕したわけです。

* * *

CINEMA ADsというのは皮肉ですよ。映画の中で広告配信ができます! しかもキャラが愛用していたり、おすすめしたり、いい感じで演出もします! いかがでしょう! という感じで広告代理店電通が販売したのでしょう。さぞ売れたことと思います。映画人としてのプライドを捨てて盛大にキャラにおすすめできる媒体ですから。

最近でいうと、ディズニーのシュガーラッシュオンラインもクソだったが、天気の子と同じでスポンサーが多すぎたせいでエッセンスが増えすぎ、物語に集中できなかったのは記憶に新しい。

5.物語、筋書きは陳腐というか、未完成品

物語の筋は上京物語&ボーイミーツガール×天気。

前者はシンプルに、上京してきた主人公と、その主人公を取り巻く登場人物&不思議な少女の葛藤、そして関係性を描いたもの。後者は空を彼岸への架け橋となぞらえ、梅雨が開けるお盆を彼岸との架け橋的に捉えたスピリチュアルな表現。

君の名は。」でも巫女が出てきたが、新海誠はけっこうスピリチュアルなひとなんだなっていうのを知った。

繰り返すが、それ自体はいい。ただ、この映画がクソなのは「感情移入できない」ことだと思う。

そして、感情移入できないのにがんがん進む。まるでCM

感情移入ができなかった理由はいくつかある。それは、、

・設定が多いし、複雑
・なのに余計なエッセンスが多い(商品紹介、過去作品との絡み)
・人間が自然を操作すること
・物語が完結しないこと

まず、けっこう設定が多くて複雑。上京の話と天気の話、恋愛的な話とかがけっこうまばらに出てくる。しかも説明が多くて物語が進むのは遅かったりする。

その上で、商品や具体的なサービスがよく出てくる。過去作品のキャラが出てくる。意味を持たせる必要がないシーンに商品が出てくることでそれらを意識しなくてはいけなくなるから、物語の本筋とか、重要なシーンに集中できない。

それに、スポンサー企業の製品を宣伝しなくてはいけないし、それが何社もあるし、そこに地域活性化・聖地巡礼のためのスポット紹介も出てくるから必然的に物語に必要な演出やシーンは削られる。

君の名は。」は複雑だったが物語に専念できたから見応えがあったし、複雑だけどそれがいい、となっていたが、天気の子は悪い複雑さを帯びていた。ただ単に集中できないし薄いと思った。

* * *

さらに、3つめに描いた人間が自然を操作することというのは、妙にリアルなんだこの作品は。現実世界にいそうな少年。現実の世界。その中でなぜか少女が天候をコントロールできる。

自然物を題材にして、それを操作する描写自体は美しかったし、演出としてはよかった。でも、そのせいで感情移入できない。嘘だし、そんな人間いないから笑

例えば、細田守監督の時をかける少女原作は筒井康隆だけど)、サマーウォーズとか、バケモノの子もあり得ないとは思うよ。リアルだけど、あり得ない。ただ、あれは明らかに人工物を使って操作していたり、人工物が原因となって起きる厄災だったり、明らかに人間以外の生物がいるから理解できる。

高畑勲監督の平成狸合戦ぽんぽことかもリアルだけど、たぬきが題材だし明らかにファンタジーに描かれているからわかる。宮崎駿監督はファンタジーを描く監督だけど、現代社会を題材にするときには現実を歪めない。庵野秀明監督のエヴァンゲリオンもそう。人工物だから理解できる。

ただ、新海誠監督の「天気の子」は、リアルな世界が舞台なのに天気という自然を操作してしまった。科学が完全に証明されている現代の物語として天候を操作してしまえば、それは神秘や物語ではなくてスピリチュアルだし、嘘になる。

それに最後は「世界を変えたけど、それでいい」「僕たちは大丈夫」というような表現があるが、それって「人間として自然を操作した(それもスピリチュアルな力で)が、それは問題ない。僕たちが自然を歪めることは太古から起きている自然現象でも起きている現象だし、そういうもんだ」って、なんかメッセージとしておかしくないか? スピリチュアルを認めること、そして人間が自然への影響を行使することを許容するメッセージ? 完全に解釈があっている自信がないけど、そういう違和感を感じた。

(2019/08/11追記:1日開けて他の人のレビューをみていると「最後の描写は新時代の若者が世界を動かすことがある。旧時代的な価値を乗り越えて、僕たちの時代を歩もう、と解釈できる」とされていた。なるほどと合点がいったので、上記の私の評価は微妙にずれているように思ったので追記をする。

旧時代から若者の番狂わせ、新勢力の台頭を認めたり、現代の社会を肯定するために天気の流転を利用したのかなという解釈に変わった。

*しかし、個人的にはやはり「自然」を題材として扱うことで監督自身も予期せぬメッセージが出来上がってしまっているようだと感じる。あと、本作の評価は「物語」「演出」よりも「広告・宣伝の強さ」でマイナスなので評価全体への影響はなし)

今時新海誠監督、川村元気名プロデューサーも「僕たちは大丈夫」と安堵していることだろう。そうでしょうね。売れてよかったね。また頑張って作ってくださいね。

6.演出はところどころすごい。それはさすがと言わざるをえない

と、評価した上で、演出はところどころすごい。普通に感動した。これが5点中1点ではなくて2点になった理由。ちなみにメアリと魔女の花は個人的には-5点くらいだけど、演出がよかったから-3点。

(繰り返すが評論家ではないから、個人の評価の問題。好きな人もいると思うから、可能性がありそうなら見に行ったほうがいいと思う)

演出としてよかったのは5シーン。それ以上はないけど、この5シーンは宣伝の動画と一緒にユーチューブにあげたらいいと思う。僕も二千円でこの5シーンだけ見せてもらえればよかったと思っている。

・帆高が拾った銃でチンピラを追い払うシーン
・ひなちゃんが最初に天気を晴れにするシーン
・ひなちゃんが花火を晴れにするシーン
・ひなちゃんが空を晴れにしたことで召されそうになるシーン
・穂高と夏美さんがカーチェイスのシーン

以上5シーンはよかった。

7.川村元気×新海誠作品は二度と見たくないと感じる

とはいえ、最終的な評価はやはり「もう二度と見たくない」ということ。

なんで二千円払って企業の宣伝見なくちゃいけないの? と思う。「君の名は。」も賛否両論あったと思うけど、僕は好きだった。でもこれは否(ぴ)。理由はやはり純粋な表現としての新海誠作品を見たくて二千円払っているから。

アニメ監督でもプロデューサーでもないからわからないし、もしかしたらやむにやまれない理由があったのかもしれない。それにこんな作品、演出を作れること自体が普通の人間からしたらとんでもないことだと思う。ただ、それ自体はすごいことだと思ってるけど、広告映画には辟易とした。プライドがないとさえ思う。自然に出して、スポンサーを喜ばせるのはいいとは思う。でも、そのために作品作ってる? というほど、明らかに度を超えていた。日清のカップ麺と湖池屋のポテチ、サントリーの飲み物はしばらく不買しようと思うほど不快だった。

もともと私は新海誠ファンではないけど、「君の名は。」の上映前に秒速5センチメートル言の葉の庭を見たけど、僕は後者はすごくいい作品(えぐみもあったけど。両方ともAmazonPrime会員なら無料)だと思った。

君の名は。」は、売れるための方法論を取り入れたようでファンはがっかりしていたけど、僕自身は面白いと思った。

でも今回のは間違いなく言える。「ぼくは大丈夫じゃない」し「愛ができることはまだあるかもしれないけど、愛のない作品からは何も生まれない」。

 

※この記事で紹介したサービスを利用すると、天気の子でカップ麺やWebサービスが紹介されていたのと同じように、「すむみん」に広告収入が入ることがあります。

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